2011年10月4日火曜日

「生と死の医療現場で考えさせられたこと」19

臨床パストラルケアから臨床スピリチュアルケアへ

私が臨床パストラルケアについて関心をもつようになったのは、以前このシリーズで語ったように病気体験がきっかけでした。実際、臨床パストラルケアを学ぼうとする人の中には、私と同じように自分や家族の病気体験、司牧者であれば病者との関わりがきっかけになっていることが少なくありません。

臨床パストラル・カウンセリングはアメリカのプロテスタントを中心に発展しカトリック教会に波及しました。プロテスタントでは「ゆるしの秘跡」や「病者の塗油」がないことが、かえって臨床パストラル・カウンセリングの発展を促したと思います。逆に、カトリックでは心理学やカウンセリングに対して消極的に、時には否定的になりました。1990年代になって臨床パストラルケアやスピリチュアルケアが日本でも話題に上がるようになりました。ホスピスが誕生し発展したことが大きなきっかけでした。

さらにWHO(世界保健機関)が健康の定義に「スピリチュアル」という言葉を入れるかどうかを、1998年の総会の議題にあげたことが日本の医療界に影響を与えました。それ以来、患者(病者)の全人的視点(身体的、心理的、社会的、スピリチュアルな側面)に無理解だった医療界も動くようになりました。今日、スピリチュアルケアに関してはカトリック教会よりずっと前を進んでいると思います。この動きは、それまで臨床パストラルケアと呼んでいたキリスト教系の団体やグループにも影響を与え、臨床スピリチュアルケアという名称変えるところが多くなってきています。パストラルケアという言葉を残しているとすれば、求められればいつでも宗教的ケアができますという意味です。

スピリチュアルケアは、一言でいえば患者中心です。前提なしに患者の世界に入っていきます。パストラルケアも患者中心と言ますが、前提にケアに携わる者のキリスト教的人間観があります。スピリチュアルケアはこれからの福音宣教を考える上でも避けて通ることができない時代の変化の現れです。

臨床パストラルケアや臨床スピリチュアルケアに関しての主な活動団体を次にあげてみます。関心のある方はインターネットにアクセスしてみてください。

●NPO臨床パストラル教育研修センター http://pastoralcare.jp/

●日本パストラルケアカウンセリング協会
181-0015
東京都三鷹市大沢3-10-20ルーテル学院大学内
TEL 0422-31-7830
FAX 0422-31-7830
プロテスタントとカトリックの聖職者を対象にしています。私はここで臨床パストラルカウンセラーの資格を受けました。

●臨床スピリチュアルケア研究会
http://www.eonet.ne.jp/~cowcat/index.htm

●NPO対人援助・スピリチュアルケア研究会
http://sp-c.umin.jp/

●NPO日本スピルチュルケアワーカー協会
http://www.jscwa.com/

 

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